家族法Q&A

家族信託

自分が死んだら直系卑属に土地を相続させたい

自分が死んだら鈴世に自宅の土地を相続させ、鈴世が死んだら孫である緋生に相続させるという希望があったとしても、かかる遺言は無効です。

 

もっとも、日本では、伝統的に先祖の土地を守る文化があります。

 

しかし、鈴世さんには,配偶者もいますし、長男のみならず次男もいます。

 

信託を開始すると、信託財産から生じる利益を受ける受益権が発生します。一例を挙げると収益物件です。

 

実は、収益について、信託情交において、承継させる先を設定しておくことで、相続と同じ効果を得ることも可能です。

 

もっとも、受益といえなくてはいけませんから、普通の自宅は受益とは言い難いのではないでしょうか。

 

信託では、最終的に残った財産の帰属先も決めることができます。財産承継の道筋を最後まで組み立てることが可能です。このように、二次相続以降も財産の行く末を決めたいという場合、具体的には孫と同居している場合など、実現する方法としては信託を活用するしか方法がありません。

 

また、教育資金のために大学資金を贈与すると約束しているのですが、認知症に椎羅さんがなってしまうと、贈与やそのほかの契約をともなう法律行為ができなくなります。もし、後見人がついても、どうせ孫への金銭の贈与を家庭裁判所は許可しません。

 

まずは金銭贈与信託です。そこで,椎羅さんと鈴世さんとの間で家族信託契約を用いて孫の教育資金にしたい金額の現金を信託財産にします。金融機関で、信託口を作り、空き家などの売却代金はそこに入るようにして、信託契約書の中で、孫が大学に入学する際の教育資金を信託財産から支出するよう指示しておきます。これにより、椎羅さんが認知症になったとしても、贈与資金は、鈴世さんの元で管理されるようになります。そして、緋生くんという孫の大学合格というあらかじめ決めておいた条件で贈与が実行することができます。

 

また、信託を開始すると、信託財産から生じる受益権が生じますが、ポイントは相続によって信託のスキームが変わっているのではなく、あくまで信託の仕組みのうえで、設定されたとおりに受益権が発生しているものです。なので、委託者の意思が貫かれているというイメージとなります。

 

一般的には、毛里さんと椎羅さんという夫婦の場合、毛里さんが先に相続が始まると考えると、相続バトルが始まるのは二次相続がほどんとです。

 

しかし、家族信託という民事信託を用いれば、二次相続以降も財産の行く末を決めたいという場合は、これを実現する方法として利用することができます。

 

ただし、問題もあり期間制限が30年ということです。民事信託が設定されたときから30年経過後に、新たに受益権を取得した受益者が死亡するまでということになります。分析的にいえば、あまり早く設定しすぎると、椎羅さんも鈴世さんも元気で、信託の意味がなくなってしまうということになってしまいます。つまり、2020年に信託が始まった場合2050年の時点で椎羅さんが生きていると、次の鈴世さんまでは受益権を取得することはできるのですが、それ以降の緋生(孫)さんは受益権を取得することができないということになります。

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