医師等高額所得者の離婚

医師等高額所得者の離婚

医師を始めとする高所得者の方は、離婚に詳しい当事務所にお任せください。

医師だからといって、特別なルールがあるわけではありません。医師の場合は看護師や他の医師との不貞など有責離婚となる例が少なくありません。ある統計によりますと3割は円満に結婚生活を過ごされますが、その他の3割は離婚され、残りの3割は独身、との統計もあるようです。また、医師同士の結婚の場合、親権をどのようにするのか、面会交流はどうするのか、忙しい故に取り決めが難航することもあります。
医師の離婚は、相手方にも代理人弁護士が就くケースが多く、協議を重ねていくことも重要です。また医師のこどもは、医師になりたいというケースもあります。ところが医学部は、とても授業料が高く平均的な高等教育費は振り切れてしまいます。この点は、こどもとの情緒的つながりで支援をするのか否かなど、弁護士も交えた判断が必要になります。また、財産分与も多額になる可能性もありますが、余りに多額になる場合、調停ベースでは、ここまでしか応じない、あとは手間暇をかけて訴訟で厳格な証明をしてくださいと対処するのも一つです。

養育費について

そして医師の場合、争いの種になりやすいのが婚姻費用や養育費です。医師は高額所得者に該当することがあり、算定表の上限を振り切れてしまうこともあるのです。さらに、医師はアルバイトをすることが多いのでアルバイト先が把握できず総収入で争いが生じることもあります。
加えて、医師の場合は、医療法人か個人事業主かでも変わっています。個人の開業医は個人事業主であることも多く1,500万円以上の所得があると、婚姻費用や養育費も上限に達してしまいます。他方で、個人でローンを組んでいる方の場合、多額の婚姻費用や養育費は病院の存続にもかかわることになってしまいます。
医科大学は学費が多額になりますが、当たり前のように養育費で要求されることもあります。しかし、母方に引き取られた場合、こどもとの間にも葛藤状態がある場合が少なくありません。しかし、両親と同程度の教育レベルを保障すべきであるという原則をベースにすると破産してしまうかもしれません。
そこで、当事務所が入り、医科大学の学費の負担を、父親に対して扶養費として請求した事案であるものの、抗告審では、両親の社会的地位などを考慮要素としてあげました。したがって場合によるケースもありますが、4年生の私立大学の文系を卒業するのに必要な程度の学費に抑えられる、とされた事例もあります。

医療法人役員の離婚

医療法人の役員の場合は、算定表は2,000万円で振り切れることになっています。高額所得者の場合、事情変更やその減額が認められにくいことから、養育費や婚姻費用に精通している弁護士を選ぶ必要があります。そもそも、医師が貯金にまわしたり個人事業者の内部留保に回したりするものまで「努力すれば支払える」という審判もあります。

配偶者が従業員である場合

医療法人の役員が離婚する場合で、配偶者がその従業員である際に解雇できるかという問題もあります。最高裁判例からすれば解雇はできないということになりますが、労働というのは職務遂行と職場環境確保の利益から成り立っており、これを乱す場合は退職勧奨などをして辞めてもらうというのが相当の場合もあります。いずれにしても、配偶者が従業員という場合は、離婚に加えて労働問題も生じることになります。