家族法Q&A

刑事弁護

抗議書②覚せい剤取締法違反

1 被疑者は、平成28年5月8日午前4時ころ、付近の民家入り口に自車を衝突させる自損事故を起こし、臨場した警察官により警察署への同行を求められ、午後1時ころ釈放されるまでの9時間近くにわたり、事実上身体を拘束されていました。その間、被疑者は、再三にわたり退去意思を示したにもかかわらず、警察官から尿を漏らす自体を生じました。

2 被疑者は、漏らした尿で濡れ切っているところ、強制採尿令状を所持した警察官に引致され、任意による尿の提出を余儀なくされ、その結果、覚せい剤自己使用の嫌疑で逮捕されました。

3 被疑者が退去意思を明確にしているにもかかわらず、このことは、被疑者と電話で話した被疑者の知人が確認しております。そして、約9時間にわたり警察官にとどめ置くことは、実質的な逮捕と同視することができ、任意捜査として許容される範囲を逸脱しており、違法であると思料いたします。そして、いったん被疑者を釈放したものの、それからさして間もなく駅にて強制採尿令状を示して引致し、尿を任意提出させたことは、これに先立つ違法な身体拘束と場所的、時間的に連続性があり、手続に同質性があるといえます。

4 したがって、被疑者が尿を任意で提出したとしても、それは違法な身体拘束を利用した証拠収集であるということができますので、尿の鑑定結果についても、違法収集証拠の誹りは免れません。

5 本件は、先行する手続に重大な違法があると思料しますので、勾留請求されないよう、本書をもって申し入れます。

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