公務員の不祥事
- 裁判所の捜査令状、審査は適当か。埼玉の誤認逮捕。
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埼玉県警は27日、強盗致傷や強制わいせつなどの疑いで同県深谷市の30代男性を昨年11月に誤認逮捕し、20日間勾留していたと明らかにした。被害者の話や防犯カメラ画像で容疑者と判断したが、別事件で逮捕した男が関与した疑いが判明した。
県警によると昨年9月、深谷市の住宅で30代の女性が両手をタオルで縛られ、わいせつ行為をされる事件が発生。県警は、住宅の玄関付近の防犯カメラに帽子をかぶった似た人物が映っていたことなどから、近くに住む男性を容疑者といったん特定し、同年11月9日に逮捕した。
男性は「事件の日は自宅にいた」と、一貫して容疑を否認。県警は同月29日に男性を釈放し捜査を続けていたが、今年5月に別の強盗事件で逮捕した男(22)が関与をほのめかし、裏付けを進めた結果、誤認逮捕だったことが分かった。
県警は今月26日、男性に謝罪した上で、27日に強盗致傷などの疑いで男を再逮捕した。
様々な意見はあるだろうが裁判所の令状審査は深刻ではないか。犯罪を犯したと認めるに足る相当な理由、逮捕の必要性のうえ、勾留の裁判では逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれなども裁判される。
しかし誤認逮捕・誤認勾留であった本件では、司法審査の機会も2度もあったが、第一、被害者の証言、第二、防犯カメラの映像が似ていたということを骨子に、相当の理由が認められてしまった。
しかし、防犯カメラといっても、強盗や強制わいせつの現場に設置されていたかは疑問であるうえ、顔の識別は顔面鑑定士でも難しいといわれる。裁判官が、両者を対比して人身の自由を制約したということになれば、今後、防犯カメラといった証拠の取り扱いにも留意が必要である。本件では、男性は否認していたものの、真犯人が、犯行をほのめかしたことから、間違いであったことが分かったにすぎず、被害者の証言、防犯カメラに加えて自白があれば、有罪認定されていてもおかしくなかった事案といえる。
本件は、「警察のミス」なのか。勾留請求したのは検察官であるし、令状を出したのは裁判官である。裁判所も逮捕状請求書にそのとおりだ、との、めくらばんを押しているだけでは、その職務を適正に遂行しているとはいえないことは明らかである。むしろ、本件は裁判になれば実刑も予想される案件であるからこそ、慎重な審理が求められた事案といえる。