家族法Q&A

婚約破棄

婚約破棄①

みなさんは、マリッジブルーというのを経験したことがありますか。

 

名古屋駅ヒラソル法律事務所でも、結婚式の前日、結納式後、結納式の前、高額の支出をさせたうえでの破棄といった婚約破棄事例があります。

 

市橋なるみさんは、江藤鈴世さんから、中学生のころ「プロポーズの予約をしておいていいかな。僕以外の誰のプロポーズも受けないって」とプロポーズの予約を受けていました。

 

法律上は、婚姻適齢に達していない約束ですし、婚姻予約の予約ということになりますから、法的な意味合いはありません。

 

なるみさんは、心臓病の再発もあり、鈴世さんから、プロポーズを受けました。このとき二人は教師と保育士という関係でした。

 

しかし、鈴世さんは、バルセロナにある日本人学校に赴任することが決まり、なるみさんは婚姻前ということもあり、ついていきませんでした。

 

帰国した鈴世さんですが、ココ・ウォレンサーという女性と親しくなっていました。日本文化に興味があり、かつ名古屋大学の大学院生であるココさんは鈴世さんに京都や東京などの案内を求めてきています。日本文学に関心がある鈴世さんとココさんは性格が合っているようです。これに対して、なるみさんは演劇には関心があるものの、日本文学に深い造形があるわけではありません。

 

こうした鈴世さんの行動をみて、なるみさんは、結婚後の生活が不安になりました。もちろん女性と一切交際するな、というつもりはありませんが、ふたりで京都や東京、ディズニーランドにいったのは心情を痛める出来事でした。なるみさんは、結納の儀式の前に、婚姻後の女性付き合いの価値観の不一致を理由に婚約の解消を申出ました。槇村香弁護士に相談したなるみさん。婚約破棄の正当事由を満たしているかの判断基準がクリアできているかがポイントと説明を受けました。

 

なぜなら、正当な理由もなく婚約を履行しない者に対して、債務不履行を理由として、あるいは不法行為を理由として損害賠償を請求することができるからです。

 

そこで槇村香弁護士は、性格の不一致、外国人好きであることなどを理由に内容証明郵便を差し出しました。

 

鈴世さんは、なるみさんに直接電話をかけましたが、弁護士から直接連絡をとらないようにといわれていました。そこで鈴世さんからの電話については槇村香弁護士に一任することにしました。

 

鈴世さんも友人の長倉元晴弁護士に依頼して、判例は、性格の不一致、容姿に対する不満、年廻り、親の反対では不十分であり、加えて婚約破棄理由は存在せずなるみさんの勘違いとして、改めて婚約の申込みを行う内容証明を送付しました。

 

弁護士は、時に白黒をつけることが重要ですが、なるみさんも、さらなるプロポーズや弁明の機会を与えてほしいといった要望を受け入れて、愛知県弁護士会会館で話し合いを持つことにしました。

 

なるみさんと鈴世さんは、23歳ですが、親密な交際は17年にも及ぶもので、大学生の間は両親の公認で半同棲の生活をしていました。

 

学説では、不安に思っていたことがますます明らかになることになり、婚約後、性格の不一致、家族も含めた生き方、価値観の相違がはっきりした場合については、婚約破棄の正当事由が認められる場合もあります。

 

鈴世さんの家では、独特の家風や行儀作法が婚姻に際してあり、「婚姻の儀」を執り行うことになっていました。そこでは、一定の教養を身に着けるように求められるなどがあります。このような場合、自信を失ったという場合には、女性には婚約解消についての違法性はないとしています。

 

結果的に、鈴世さんは、代々の独特の家風に基づく結婚式を拒否し、洋式の結婚式と披露宴を選択し、両親も説得してくれたことで、なるみさんの不安も解消され、なるみさんも、鈴世さんの母親の料理の指導などを受け入れるようになり、婚約破棄騒動はひと段落つくことになりました。

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