家族法Q&A

慰藉料

貯蓄がない場合の離婚協議

松浦遊さんと光希さん夫妻。お子さんは、13歳の立夏さんと12歳の朔さんのふたりで、いずれも私立大学付属の中学校に通っています。

 

さて、遊さんと光希さんですが、光希さんはお子さんの出産に合わせて、退社し現在は元々の会社でパートとして働いていて、収入は120万円程度です。

これに対して遊さんは一級建築士として設計事務所と共同パートナーとなっていますが、所得には波があるようです。遊さんの家では毎月60万円程度の収入がありますが、貯蓄があまりありません。

 

光希さんは、家計への不安から、貯蓄のため、元々の会社でのパートをフルタイムパートに近い形にしてもらい収入は250万円程度にまであげてもらう予定です。

 

しかし、遊さんと光希さんにとって、どうして貯蓄がたまらないのか、それが口論の元になっていました。

 

お金の残らない原因として、遊さんは、コンペの出場のため、いわば私財をなげうつ形で、準備をして応募をしています。もちろん、設計事務所の人件費は個人事業主ですから直接跳ね返ってきます。

また、遊さんは夜も遅いため、昼食、夕食がすべて外食になってしまいます。また、こどもふたりを私学にやっているための教育費、もともとふたりとも生活レベルの高い家の出身のため、浪費ともいえるものがありました。また、建築からインスパイアを受けるため遊さんの旅行好きも仇になっているようです。

 

そこで、光希さんは、教育費以外については、普通の家庭以下に抑えるように倹約をはじめ、食費や日用品など1週間の予算制として週単位で管理するものとして貯蓄できる家計を考え出しました。交際費、洋服代、食費への支出を削り、3万円を貯蓄に廻せるようにしていました。

 

しかし、遊さんは、ひとりだけ取り残された感じでの節約に不満があるようで、両者の葛藤状態は高くなっていきました。

 

こうした悩みを光希さんは、中学校からの親友だった須王さんに相談し、そして相談しているうちに不倫関係に陥ってしまいました。

 

遊さんは、こうした状況にたまりかねて、別居を切り出しましたが、立夏と朔がいるため、遊さんが自宅から出るという形で別居が始まりました。

 

遊さんは、不貞をした光希さんに慰謝料請求をしますが、光希さんは、自宅の購入資金やこどもたちの学費に貯蓄を使っており、これまでパート程度しか働いていませんでした。

 

このような場合、慰謝料請求できる立場であったとしても、最終的に現金を受け取れるケースは少ないといえます。

 

つまり光希さんのように、相手方に資力がなかったというケースについては、泣き寝入りしなければならないケースも出てきます。

もちろん財産分与で加算調整をすることもできますが、財産分与の場合、自宅の住宅ローンの清算の問題が重たくのしかかり、少なくとも財産分与請求権が発生しない場合、遊さんは慰謝料を回収できない場合もあります。

 

もちろん給与の差押えなどもありますが、このような応酬になると父母間の葛藤が高くなりますので、離婚協議が進めにくくなるという問題点が生じることになります。

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