揉め事の原因になりがちな遺産分割問題を、法律に則って最善の結果へと導きます。
相続が発生した場合、基本的なフローチャートは遺言があるかどうかで大きく分かれることになります。
遺言がない場合
相続が発生している場合に遺言がない場合の遺産相続に関するご相談が多くを占めます。
相続人の範囲
まず相続人の範囲を決めます。経験的には、相続人の範囲が問題となるのは、範囲というよりも代襲相続人が多すぎて、実質的に遺産分割をすることが難しい、というケースだと思います。
遺産の範囲
遺産の範囲を決める際に問題となるのが、遺産目録の作成ができるかどうかだと思います。ある程度は、相続財産については、自宅などを探したり不動産であったりすれば特定をすることができます。しかし、現金で、誰かにあげたというようなご相談もありますが、調停や審判での証明の問題があるということになります。遺産に含まれるかどうかという争いもありますが、あまり聴かない論点といえます。つまり遺産というのは、被相続人が死亡した時点で所有していて遺産分割のときに存在する財産です。ですから、財産の散逸を避けるということも重要な視点といえるかもしれません。
マイナスの財産
現実にはマイナスの財産を分けることにつきましても話合いが持たれることが多いですが、法律上は債権者を保護するために、借金の遺産分割はできず法定相続分に応じて弁済する責任を負うことになります。こうした点も相続放棄をなされるかどうかという観点からの判断のベースラインになるかと思います。
不動産
不動産については評価の問題が出てきます。もっとも評価が必要なのは不動産評価のみということになりますし、売却をする場合は問題が起こらないということになるかもしれません。
寄与分・特別受益
寄与分や特別受益といったご事情がある場合は弁護士にご相談されることをおすすめします。寄与分は、ある相続人が被相続人の財産の維持・増加に特別な貢献をした場合に、相続財産から寄与をした金額を控除し残った分を遺産分割の対象とするものです。他方、特別受益は、相続の発生前に、特定の相続人が被相続人から多額の贈与などを受けていた場合に贈与などで受け取っていた額を相続開始時に積極財産に加え、持ち戻しがなされた財産に法定相続分をかけて具体的相続分を出して、特別受益を得ていた者は、みなし相続財産といって、事前にもらってしまったものも含めた遺産である相続財産に法定相続分をかけて得られた額から特別受益額を控除された額を具体的な相続分とする制度ということになります。
遺言がある場合
遺言がある場合には、遺言の内容によって変化することになりますが、一般的には「相続させる遺言」により遺産分割方法の指定がなされているケースが圧倒的です。この土地は長男に、現金は二男にというのが典型的なものです。この外、ストレートに相続分自体を指定してしまう遺言もありますが、抽象的相続分を修正する遺言はあまり意味がありません。そこですぐに遺留分減殺請求の可否などを検討することになります。
相続させる遺言がある場合
相続させる遺言がある場合、遺産分割方法の指定があるわけですから、相続人間の紛争は予防され遺言執行者が選任されますと、遺言執行者が、登記移転などの手続もしてしまいます。このため、もっとも被相続人の方の意思を実現するのに適しているといえるでしょう。
そして、相続させる遺言は、特定の物をだれだれに相続させるという書き方が多いですから遺留分が侵害されているか否かの検討が必要になります。遺留分が侵害される場合、遺留分減殺請求をすることになります。