弁護士コラム

刑事訴訟法

逮捕

最近は、逮捕それ自体が違法ということは少なくなっているように思いますが、やはり微罪の場合、避妊するならば逮捕するぞ、と恫喝している例が金沢でありました。

しかし、判例集をみる限り、近時は逮捕の違法性が争われたということは少ないように思います。現在、私が担当している事案で逮捕されながら令状の呈示がなされず、緊急執行の要件を満たさずファックスをみせただけという違法性が顕著なものがありました。

 

第4編 逮捕

第1 被疑者の身体拘束

① 逮捕

Ⅰ 通常逮捕

Ⅱ 現行犯逮捕

Ⅲ 緊急逮捕

② 勾留

*平成18年度の犯罪

一般刑法犯逮捕者数総数 通常逮捕 49,477
98,574 現行犯逮捕 39,251
緊急逮捕 9,846

 

第2 通常逮捕

1 定義

通常逮捕とは,裁判官があらかじめ発する逮捕状を執行することによってなされる逮捕をいう

2 要件と論点

(1) 要件

① 逮捕の理由があること

被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があること

⇒ 捜査は流動的であるので,最初は緩やか。勾留の場合と低い!勾留の場合は,文言の差はないけれども事実上は高い嫌疑が要求されている

緊急逮捕との違いは事前の令状審査があったかどうか。緊急逮捕の場合は,「逮捕を許可する」ではなく「逮捕を認める」になっているので,緊急逮捕の方が要件が厳しくなっている

起訴する場合は,事実上,合理的な疑いまで高まっていないと起訴されず

② 逮捕の必要性があること(199条2項ただし書き,規則143条の3)

Ⅰ被疑者が逃亡するおそれがないことやⅡ罪証を隠滅するおそれがないなど―明らかに逮捕の必要がない場合をいう

* 逮捕の必要性の有無の判断は,裁判官に委ねられているが,捜査の特殊性にかんがみ,捜査機関の意見が尊重されるべきであって,逮捕状の請求が却下されるのは,「明らかにその必要性がないと認められる場合」に限られている(検察32)

(2) 取調べのための出頭要求(198条1項)に応じない場合と逮捕の必要性

● 必要性肯定説

∵① 199条2項ただし書きが「正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合」を挙げる

② 規則143条の3が「・・・等」としている

×Ⅰ 不出頭自体,逮捕の理由を直ちに基礎付けるものではない

Ⅱ 被疑者の取調べ目的の身体の拘束は,198条2項の包括的黙秘権の保障と矛盾する

○ 不出頭が重なれば,そこから逃亡のおそれが認められる(白取153)

 

3 手続

(1) 逮捕状の請求

ア 請求権者(199条2項,規則141条の2)

① 検察官

② 司法警察員

イ 請求の方式

(ア) 逮捕状請求書の作成

請求書の謄本1通を添付して裁判官に提出(規則139条)

(イ) 資料の提供

逮捕状を請求するには,逮捕の理由(罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由)及び逮捕の必要があることを認めるべき資料を提供しなければならない(規則143条)

(ウ) 不当な蒸し返しの防止

刑訴法199条3項及び規則142条1項8号は,「同一の犯罪事実についてその被疑者に対して前に逮捕状の請求又はその発付があったときは,その旨を裁判所に通知しなければならない」と規定している

∵ 検察官が自己の判断に都合のよい判断が出るまで請求を繰り返す,ジャッジ・ショップを防止する趣旨で,「請求」があれば通知することにする

 

(2) 逮捕状の発付

ア 逮捕状の方式

刑訴法200条,規則144条・145条

* 押印が漏れている場合

裁判官の記名押印が要件であるのにこれが欠けている場合

⇒ 無効な逮捕状に基づく逮捕は無効である。したがって,直ちに釈放せざるをえない。その後に緊急逮捕をするが,緊急逮捕ができない場合は在宅処理。

まず,条文から考える。

イ 請求却下

(3) 逮捕状の執行(201条)

ア 通常執行(1項)

逮捕状により被疑者を逮捕する場合は,逮捕状を被疑者に示す必要

イ 緊急執行(2項⇒73条3項)

逮捕状を所持しない場合において,急速を要する場合は被疑者に対して,被疑事実の要旨及び令状が発付されている旨を告げて逮捕できる

ウ 被逮捕者の捜索(220条1項1号)

 

 

(4) 逮捕後の手続

ア 司法警察職員による逮捕の場合

(ア) 司法巡査の逮捕(202条)

司法巡査は司法警察員に引致する必要

(イ) 司法警察員の逮捕(203条)

Ⅰ 被疑事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上で,弁解の機会を与える

Ⅱ 留置の必要がなければ直ちに釈放し,必要があると認めるときは,被疑者が身体を拘束された時から48時間以内に,書類及び証拠物とともに,検察官に送致する手続をする必要

イ 検察官による逮捕の場合(204条)

(ア) 検察官による逮捕の場合

Ⅰ 被疑事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上で,弁解の機会を与える

Ⅱ 留置の必要がなければ直ちに釈放し,必要があると認めるときは,被疑者が身体を拘束された時から48時間以内に,裁判官に対して勾留の請求をしなければならない

(イ) 司法警察員から送致された被疑者を受け取った場合(205条)

Ⅰ 弁解の機会の付与

Ⅱ 留置の必要があると認めるときは,被疑者を受け取った時から24時間以内に,裁判官に対して勾留の請求をする必要

* この時間は,被疑者が身体を拘束された時,すなわち,警察が逮捕した時から通算して72時間を越えてはならない(205条2項)

* 205条2項の意味

    203条1項(48時間)                               205条1項(24時間)

 

 

身体拘束     検察官送致 受け取った時    勾留請求

 

 

 

*この部分が開き過ぎないように規律するのが205条2項!!

 

 

 

 

 

 

 

 

第3 現行犯逮捕(212条・213条)

1 意義

(1) 定義

現行犯逮捕とは,現行犯人を逮捕することをいう

(2) 視点

現行犯逮捕は,令状主義の例外を認めるものであるから,逮捕者の判断の客観性が保障されている必要

⇒ 逮捕者にとり犯罪及び犯人が明白であることを逮捕者が直接知覚する必要

 

2 要件

現行犯人であること

(1) 現行犯人(1項)

① 現に罪を行っていること

①’現に罪を行い終わった者であること

(2) 準現行犯人(2項)

① 罪を行い終わってから間がないと認められるときであること

② 犯人として追呼されていること

②’贓物又は明らかに犯罪の用に供したと思われる凶器を所持していること

②’身体又は被服に犯罪の顕著な証跡があること

②’誰何されて逃走しようとすること

3 制度趣旨

令状主義の例外とされる理由

① 犯人と犯罪行為の明白性

逮捕をする人の目の前で犯罪が行われたのだから,犯人と犯罪行為との結びつきは明らかであり,間違って犯人でない人を逮捕する可能性が低い

⇒ Ⅰ犯行との時間的接着性(現行性)とⅡ犯罪と犯人の明白性を考慮

② 逮捕しておく必要性

逃げられると,あとで逮捕するのが困難になるから,そのときに逮捕しておく必要があるから

* 現行犯人であるという抽象的な要件を推認させる212条1項又は2項の要件を検討するには,「明白性と必要性」という観点から判断する必要!![1]

4 判断基準―2つの明白性

(1) 『現に罪を行った』ことの明白性(現行性)

ア 誰にとっての明白性か

事例 賄賂の授受,麻薬の密売,競馬の呑み行為などは外部から一見しただけでは,犯罪であるか分からない場合に,警察が内偵で得た資料によれば明らかに犯罪といえる場合に,『現に罪を行っていること』の明白性は認められるか

● 警察官が事前に収集した資料・知識・経験などから犯罪の存在が明白であれば現行犯逮捕をすることができる(大澤説,東京高判昭和42年6月28日判タ195号125頁)

×① 一般私人が警察官の資料を前提にすることはあり得ないから,警察官だけにあてはまる明白性を創設することになる

② 通常は緊急逮捕でまかなえるから,特別な明白性を創設する実務上の必要性に乏しい

○ 一般私人が逮捕することができるから,犯罪の存在が外部から見て明白でなければならない(寺崎128,大森簡判昭和40年4月5日下刑集7巻4号596頁)

 

イ 逮捕者にとっての明白性

事例 被害者らの通報によって警察官が駆けつけ,現行犯逮捕することも多い。この場合,警察官は,被害者らの供述や現場の状況,被逮捕者の言動など,自分で見たり聞いたりしたことをもとに,現行犯人の要件を満たすとできるか

● 明白性が認められるとする見解

∵① 被害者Aにとっては,犯罪及び犯人は明白

② もしAが被疑者を追跡して逮捕していたなら,犯行から20数分であり,現場から20数メートルしか離れていない

③ 現行犯逮捕は逮捕者が犯行を現認している場合に限られず,逮捕者が直接覚知し得た諸般の状況から合理的に判断すれば足りる

×Ⅰ 準現行犯の規定自体が,急報を受けて犯行現場に駆けつけた警察官が無令状で人を逮捕してよい場合の要件を限定列挙したもの

Ⅱ 緊急逮捕についての嫌疑の十分性の要件は逮捕者の主観に委ねられており,客観性の担保のために裁判官の令状が必要とされていることとの均衡から,裁判官の令状が不要な現行犯逮捕は,逮捕者の判断の客観性が保障されている必要あり

Ⅲ 犯罪行為を直接知覚した者が逮捕行為や犯人の追跡を行っていないので犯罪の特定性や犯人の明白性の要件を満たしていない,逆にいうと逮捕者を基準にすると犯罪と犯人が明白であるとはいえない

○ 被害者らの供述しかなく,それ以外には外見上犯罪があったことが全くうかがわれないときは明白性は認められない

⇒ 駆けつけた警察官が現行犯逮捕をすることはできない!!(寺崎128)

* 被害者の通報を総合すれば,現場付近にいるAが犯人であると認められる場合,被害者などの通報を資料としてその者を現行犯逮捕することできる

∵ 客観的な現場の状況だけではなく被害者の通報も客観的証拠を補充するものとして認定資料とできる

 

(2) 『行い終わった』ことの明白性(時間的接着性)

⇒ 判例は,時間的接着性よりは,犯人と現認者との関係が継続しているかを重視

* 『現に罪を行っていること』の場合は時間的接着性はあまり問題とならず,『現に罪を行い終わっていること』の場合に時間的接着性が問題となる

 

5 準現行犯

(1) 要件

『罪を行い終わって間がないこと』+『1号~4号の事情』

(2) 『罪が行われたこと』の明白性

1号~4号の事情

(3) 『行い終わって間がないこと』の明白性(時間的接着性)

⇒ 準現行犯では,本来の現行犯(212条)よりも時間的接着性が緩やか

* 長くとも2・3時間と考えるべき(寺崎130)[2]

* 2項各号に該当する状況が認められても直ちに『罪を行い終わってから間がないと明らかに認められる』と評価できるとは限らない(大澤[3]

* 判断資料について[4]

* 最決平成8年1月29日刑集50巻1号1頁参照

 

6 逮捕の必要性

(1) 『逮捕の必要性』は要件か

現行犯逮捕は,通常逮捕と同様に逮捕の必要性が要件となる

* 現行犯逮捕の趣旨からして,通常は逮捕の必要性あり

(2) 一定の軽微な犯罪について『必要性』の要件を厳格(217条)

① 犯人の住居もしくは氏名が不明

② 犯人が逃亡するおそれがある場合

 

7 手続

(1) 逮捕の手続

① 私人でも逮捕できる(213条)

② 逮捕に当たり,逮捕の理由となる被疑事実の要旨を告げる必要なし

③ 捜査機関の現行犯逮捕のみ無令状捜索・差押えできる(220条1項)

(2) 逮捕後の手続

① 私人による現行犯逮捕の場合は検察官か司法警察職員に引渡す(214条)

② 司法巡査が私人から現行犯人を受け取った場合は司法警察員に引致(215条1項)

③ 逮捕後のその他の手続は通常逮捕と同じ(216条)

 

 

 

第4 緊急逮捕

1 合憲性

(1) 違憲説

違憲説とは,緊急逮捕は現行法の規定のままでは憲法33条に反するとする見解をいう

(2) 合憲説[5]

ア 令状逮捕の一種として説明する見解(寺崎126)

∵ 合理的理由がある場合に刑訴法の規定で『事前』審査を緩和できるはず

× 令状主義の意義は事前審査にあるところ,緊急逮捕は事前審査がない

イ 現行犯逮捕(令状主義の明文の例外)の一種として説明する見解

×① 現行犯人を令状なしに逮捕できるのは明白性が認められるから

② 緊急逮捕は時間的接着性が要件でなく,緊急性はあるが明白性はない

⇒ 憲法は,現行犯逮捕のみを令状主義の例外にしていると解すべき

 

2 要件

① 犯罪の重大性

死刑・無期・長期3年以上の懲役・禁固にあたる罪であること

② 嫌疑の充分性

罪を犯したことを疑うに足りる十分な理由がある場合であること

* 犯罪の嫌疑の程度の問題であり,充分な理由とは,通常逮捕の「相当な理由」より一層濃厚な嫌疑があることをいう

③ 緊急性

急速を要し,裁判官の逮捕状を求めることができないこと

* 「急速を要し」とは,裁判官に通常逮捕状を請求していたのでは,仮に逮捕状が発付されたとしても,被疑者の逃走などにより逮捕することが不可能若しくは著しく困難になる場合をいう

④ 令状請求

事後に直ちに逮捕状請求をしたこと

 

3 手続

(1) 逮捕時の理由の告知

逮捕に当たっては,被疑者に対して犯罪の十分な嫌疑があることと,急速を要し逮捕状を求めることができないことを告げなければならない(検察35)

 

 

(2) 事後の逮捕状請求

① 逮捕後,『直ちに』逮捕状を請求する手続をする必要

② 通常逮捕の場合と異なり検察事務官及び司法巡査も請求できる

③ 逮捕状の請求に必要な手続きはすべて通常逮捕と同じ(211条)

(3) 緊急逮捕状

ア 過去の逮捕行為の適否

イ 身体拘束継続の適否

* 逮捕後に生じた状況(たとえば,逮捕された被疑者の弁解の内容)は疎明資料とすることはできない

(4) 逮捕後の手続

逮捕後における手続は,すべて通常逮捕と同じ(211条)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



[1] 現行犯逮捕を論じるにあたっては,常に令状主義という憲法原則の例外であるということを意識する必要がある。そして,令状主義の趣旨は,裁判官があらかじめ強制処分の前提となる要件の存在を確認をすることにより,被疑者の誤認逮捕を防止し人身や行動の自由が侵害されないようにする点にあると解される。そうだとすれば,「現行犯逮捕は誤認逮捕のおそれが存しない場合」に限り承認される。法212条1項及び2項の要件解釈にあたっても,この点を強く意識して検討される必要がある。そして,必要性という観点は通常逮捕でも問題になるので置くとしても,明白性という点から光をあてて解釈する必要がある。具体的には,犯人と被疑者との結びつきの明白性及び時間的接着性の2つの観点から誤認逮捕のおそれがないかを検討すべきものである。この点,特に212条2項の準現行犯については,条文の文言に形式的に該当するとしても,にわかに令状主義の例外を認めるほどに誤認逮捕のおそれがないとは言いがたい場合も十分考えられる。あくまでも,形式要件を満たすから現行犯逮捕が可能であるとするような形式的な思考をしてはならないことを改めて自覚すべきものである。

[2] 大澤裕「準現行犯逮捕」刑事訴訟法百選[7版]33頁は,「罪を行い終わってから間がない」とは,犯罪との『客観的な』時間的近接性の意味に解されることもある。しかしながら,むしろ,「間がない」かどうかは,逮捕者が逮捕時に認識した状況について判断されるものと考えられる。したがって,犯罪後の時間経過の長短のみで決まるものではなく,「罪を行い終わってから間がない」といえるだけの犯罪との結びつきが消え去ることなく残存していて,そこから犯罪と犯人が明白といえるかが問題であろうと指摘している。これに対して,寺崎129は,現行犯逮捕の「現に罪を行い終わった者」の解釈について,「犯行の『情況が生々しく現存している』ことが,『現に罪を行い終わった』(212条1項)ことの指標として重視」するのが判例であると指摘する。この判例の思考は,大澤の思考と一致するものと考えられる。そのうえで,「『犯人と逮捕者との関係』あるいは,生々しい『犯行の情況』は,それだけでは必ずしも十分に客観的な指標となり得ない」と批判し,そのような思考は大正刑訴の思考と批判し,いかに生々しい犯行情況があっても,時間的接着性の限度があると批判している。

[3] そもそも,各号の事情には,犯罪との結びつきを示す力においてかなりの差異があるから,それぞれに応じて,犯罪と犯人が明白であるといい得るだけの他の事情が備わっていることが必要となる。この点では,一般に犯罪との時間的・場所的近接性の考慮を欠くことができない。特に4号は,2項各号の中で犯罪と犯人とを結びつける力が最も弱く犯罪と犯人を結びつけるのに十分ではない。したがって,4号との関係で犯罪と犯人が明白であるといい得るためには,犯罪との時間的・場所的近接性を無視することはできない場合と考えられる。ただし,4号以外にも2号,3号にも重複して該当する場合は,一般にそれだけ犯罪と犯人との結びつきが強く認められるはずといえる。とすれば,4号以外に2号3号に該当する分に対応して犯罪との時間的・場所的近接性は緩やかでも足りると考えられる。要するに,準現行犯の場合は,「罪が行われたこと」の明白性を支える2項各号の要件の推認力には強弱があるので,推認力が弱い場合は,「行われてから間がないこと」の明白性が必要となる。逆に,推認力が強い場合は,時間的接着性の要件を緩やかに介してもよいということになると考えられる。

[4] 準現行犯の場合,犯罪と逮捕との間に時間の経過がある類型といえる。そうすると,逮捕者が逮捕時に現認した状況のみから,直ちに犯罪と犯人が明白であることは通常考えにくい。そこで,2項各号に該当する状況は,逮捕者にとっての犯罪と犯人の明白性の担保であるから,逮捕者が逮捕時に直接に覚知しなければならない。もっとも,直接に覚知した状況が各号に当たるか否か,各号に当たると認められる場合に,さらに,「罪を行い終わってから間がないと明らかに認められる」か否かを判断するにあたっては,逮捕者がすでに得ていた情報や資料を加味することも客観的かつ合理的に犯罪と犯人との明白性が担保される限り許されるものと考えられる。このような見解であっても,詐欺など外形上犯罪の証跡に乏しい犯罪の場合は準現行犯逮捕も難しいと考えられる。

[5] 大澤は,「憲法33条は,現行犯逮捕以外にもその趣旨を同一のものにも拡大することができる」との見解によっている。そして,緊急逮捕も要件を厳格に解する限り合憲とする。これは,寺崎126が,合憲説の「令状主義の一種として説明する見解」から,合理的理由があれば刑訴法の規定で事前審査を緩和させることができる,という思考と近いものがあると考えられる。

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