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夫婦別姓は憲法13、14、24に違反するのでしょうか。

最高裁判所は、民法750条について、憲法13条、14条、24条に違反しないとの判断をしました。

 

夫婦別姓については、基本的な家族の単位を夫婦と考えると同姓となりやすく、これを親子と考えると別姓になりやすいという論理的関係にあります。

 

多数意見に対して学者出身の岡部裁判官は、「氏が家族という社会の自然かつ基礎的な集団単位の呼称であることにその合理性を求め・・・そのこと自体に異をのなえるわけではない」

「世の中の家族は多数意見の指摘するような夫婦とその間の嫡出子のみを構成員としている場合ばかりではない」「既に家族と氏の結びつきには例外が存在する」

「現時点においては,夫婦が別の氏を称することを認めないものである点において、個人の尊厳と両性の本質的平等の要請に照らして合理性を欠き,国会の立法裁量の範囲を超える状態に至っており憲法24条に違反するものといわざるを得ない」と指摘しました。

そして、「櫻井龍子,同鬼丸かおるは、裁判官岡部喜代子の意見に同調する」として、女性3名は憲法24条に違反するものと判断しています。

 

当事務所としては、夫婦の同姓を求めることは、夫婦を基本単位ととらえる以上、その識別のため原則として立法目的は重要なものと考えます。

しかし、ここでいう立法目的は一切の例外を許さないものであり、一切の例外を許さないことに目的の重要性が中身を伴って重要であるといえるかが問題となると考えます。

 

こうした観点からみると,離婚、再婚の増加、非婚化、晩婚化、高齢化など氏の識別機能や結びつきの機能は低下しているということができます。

また、実質的に96%が男性の氏を名乗っていることに照らすと,憲法14条の見地からも合理的理由がある差別であるか否かという問題も提起される。

 

このようなことからすれば、家族のありようは多様であり、ステレオタイプの家族像のみではないことに照らし、そうした家族が無視できないほどのマジョリティを占めるようになった今般,民法750条の完璧な同姓を求める規定は個人の尊重、つまり事情によっては家族の構成員であっても、その意向を尊重するべき場合もあるのであって、全面的かつ包括的に、同姓を強いることは、立法の目的自体が中身を伴って重要とはいえないものと考えられます。

 

原則として、同姓を基調とするドイツ、タイ、スイスでも例外的には別姓が認められるのであって、このことは民間の努力にすぎない通称の使用によって憲法価値の評価が左右されるものではありません。

 

したがって、我が国においても、その利用者は少ないかもしれません。実際ドイツでも、別姓の利用者は少ないといわれていますが、どのような場合にも、宇宙の片隅で泣いている人はいるのであって,様々な家族形態の中で、別姓利用を必要とするべき必要性は高まるものと考えられる。したがって、裁判所としては「やむを得ない事由」の解釈を緩やかにするとともに、早期に例外的な夫婦別姓を求める、必要とする人たちを多数派が押さえつける権利まではありません。ゆえに、夫婦別姓例外法を早期に制定して、立法府において、早期に解決することが求められるといえます。しかし、本件のように、夫婦別姓の問題については、ある種問題を抱える人たちは特殊な人たちが多いことを忘れてはならないように思います。

 

したがって、夫婦別姓を真摯に求めている人たちは、少数派ということができ、代表民主制の過程でも男性が議員の多くを占める今般、司法による解決が求められているものと考えられます。

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