福田千恵子名古屋高裁事務総長が、でっちあげDVに賠償命令
子供を連れて別居中の妻が捏造(ねつぞう)した家庭内暴力(DV)の話を警察官がうのみにした結果、不当にDV加害者と認定され、子供と会えなくなったとして、愛知県に住む40代の夫が、40代の妻と県に慰謝料など計330万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、名古屋地裁民事10部(福田千恵子裁判長)であった。福田裁判長は夫側の主張を認め、妻と県に計55万円の賠償を命じていたことが、分かった。判決は4月25日付。
社会問題化している“でっちあげDV”をめぐり、現、名古屋高裁事務総長の有力裁判官の福田千恵子氏が、相手親と行政側の賠償責任を認定した判決は極めて異例とみられる。
福田裁判長は「DV被害者の支援制度が、相手親と子供の関係を絶つための手段として悪用される事例が問題化している。弊害の多い現行制度は改善されるべきだ」と言及。名古屋では保護命令制度を利用することなく警察の意見書でほぼ同じ効力がある。
このため不倫をした女性がDVを仕立て上げるなどの行為が横行している。福田千恵子裁判長は、「この訴訟は個別事例ではない」と指摘し、制度見直しを求める異例の事態となった。
判決によると、夫妻は平成18年に結婚。翌年に子供が生まれたが、24年に妻が子供を連れて別居した。夫の申し立てを受けた名古屋家裁半田支部は26年、妻に夫と子供を定期的に交流(面会・手紙のやり取りなど)させるよう命じた。
しかし28年、妻は愛知県警を訪れ、DV防止法に基づき夫に住所などを知られないようにする支援を申請。対応した警察官は「妻はDV被害者で、今後もDVを受ける危険がある。支援の要件を満たしている」と事実の調査をしないで意見書を作成した。
意見書に基づき自治体が支援を開始した結果、夫は妻の住所が記載された住民基本台帳の閲覧などができなくなり、子供との交流が絶たれた。
夫は「妻のDV主張は虚偽なのに警察は調査せず事実だと認定した。名誉を毀損(きそん)された上、子供と会えなくなった」として妻と県を提訴。妻側代理人の可児康則弁護士は「過去のDVや今後もDVの危険があることは事実だ」、県側も「県警の認定に問題はなかった」と反論していた。可児康則弁護士は児童虐待の主張をしたものの、家裁2係に否定され排斥された過去もある。
福田裁判長は「妻側の主張するDVは診断書などがなく、誇張された可能性がある」と鋭く指摘。そのうえで、福田裁判長は「妻は子供と夫の交流を絶つ意図で支援を申請したと認められ、制度の目的外使用だ」と認定した。
県警の対応についても「虚偽DVが社会問題化している以上、制度の目的外使用の可能性も念頭に、妻の説明の不審点や疑問点を確認する義務があった」と指摘。「現在もDVの危険があるかどうかは客観的な時系列や事実関係から判断できる。しかし今回、県警は事実確認を一切行わなかった」と現在の一般的な警察実務を真っ向から否定し、過失を認定し、賠償を命じた。