弁護士コラム

理念

トランプさん、移民のこどもの人権を守って

子イギリスのBBCはトランプが、不法移民のこどもの身分の不安定化が社会問題化しており、オバマ大統領が強制退去としないDACAを廃止を検討し発表した、と報道した。以下、朝日新聞9月4日付を引用しながら紹介していきたい。また、アメリカABCは、番組を打ち切りBreaking Newsとして、議員たちが危険デッドラインに近づいていると報道し、アップルのCEOが「唯一の祖国から追い出すものだ」と報道し、また、オバマ前大統領が、よほどのことをしない限り口を挟まないとしていたが、この問題について懸念を伝え、最後は良識の問題と指摘したと報道され批判的に報道している。ABCは内部文書をリークし、既に退去の準備を始めさせるべきだ、などと記載されていたと報道している。

 

こどものときに、入境したときに、DACAの対象は80万人にも上りますが、その多くがこどもたちとみられています。オバマ大統領の判断はむしろ、アメリカ内で出生すれば国籍を持つことができるのであれば、こどもの際入国し一切の保護が与えられないというのは、日本の特別在留許可の基準よりも苛烈なものだ。セッションズ長官を映し出すBBCの映像の後ろにはジャスティスの文字が躍るが、まさに踊るジャスティスだ。少数者を、そしてこどもを痛めつけることに何の正義があるのだろうか。

 

DACAは、むしろ移民国家のアメリカ憲法の趣旨に沿ったものであり、朝日新聞では「オバマ前大統領が2012年に大統領令で導入した。制度導入時に31歳未満▽16歳になる前に米国に来た▽通学中や高校を卒業(または高卒認定)、米軍や沿岸警備隊から名誉除隊を受けたのいずれか▽重大犯罪で有罪となっていない――などの条件を満たせば、2年間は強制送還の対象としない」ものと紹介されている。

 

BBCは、DACAの対象となる女性を紹介し、いかに自分がアメリカに国民として国家に貢献したかを述べた。また、別の男性は、いまさらメキシコに帰っても自分の居場所はないと述べた。

 

BBCは、多くの若者の人生を狂わせることになるだろうと報道し、ホワイトハウス前から、既にこどものDACAは、心の中でもぎとられたとの趣旨で報道した。日本においても、こどもから、日本にいる場合はスペシャルパーミッションの対象となり、アメリカにおいては、移民不寛容国の日本をも上回る最悪のもので、しかもこどもを狙い撃ちにする点で極端で度を超すものである。

 

アメリカでは、経済界では、という議論もあるようだが、あるいは80万人を返すのは大変なので、6か月の猶予期間をもうける程度を考えている。しかし、英語しか話せないこどもを母国なる他国に追い出すものである。そもそも国籍については、我が国の最高裁ですら、その国と密接の関係がある者に与えられるものとの原理的な指摘を背景にしていると思われる。こどもだからこそ、密接の関連が高まると考えるべきであり、これは国際司法でも同じである。今後とも、連邦地裁による大統領令ないし法律執行の差し止めを強く期待したい。

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