弁護士コラム

遺言・家族信託

家族信託│長男の妻に財産を残したくない

登場人物は、長倉毛里(父)、椎羅(母)、長倉元晴(長男)、長倉七美(妻)、江藤隆聖(二男)、玲於(二男のこども)

 

まず、毛里さんと椎羅さんはともに小説家とキャリアウーマンの資産家です。

 

最初は遺言を書きたいというご相談でしたが、「自宅は長男元晴に継がせたいが、長男夫婦には離婚したこともがいるが洗脳されている。元晴がなくなった後、七美は前妻との間のこどもの晴登が相続してしまうことになってしまう。しかし、やはり自宅は、血のつながった情緒のある親族に引き継いでもらいたいとのことで、そもそも、晴登や七美のことが嫌い」とのことでした。

 

七美さんは,後妻であることから、椎羅さんとは折り合いは悪かったようです。この点、両親と息子たちとの関係は良好です。そこで、長男元晴さんが亡くなった後は、二男の隆聖さんが引き継いでほしいと希望されているのです。現実に地方ではこのようなリクエストをよくいただきます。わかりやすくいうと、七美さんも嫌いなのですが、どうやら前妻の有里さんはもっと嫌いでその支配下にいる晴登には絶対不動産は渡したくないようです。

 

そこで、遺言信託を利用することにしました。遺言で信託をするのです。遺言で信託をして委託者毛里、椎羅として、受託者は二男の隆聖さん、第一受益者は長男の元晴さん、第二受益者は二男の隆聖さんにすることにしたのです。遺言では二次相続以降まで決めておくことはできませんので、信託の利用が妥当といえました。民事信託を利用すると、二次相続以降の承継先を決めることが最大のメリットです。隆聖さんのこどもの玲於さんを承継先にすることで目的を達成することができます。やはり再婚して、前の配偶者との間にこどもがいるケースに有効に活用ができます。なお、遺留分には十分留意しましょう。

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