弁護士コラム

遺言・家族信託

法務局に遺言書を預ける制度も―改正民法と遺言

まず、自筆証書遺言ですが、財産目録については、パソコンでの入力が認められるようになり、金融機関の通帳のコピーの添付もできるようになりまして、記載内容の過誤が生じる恐れが少なくなりました。

今回の改正では、法務局の保管庫に遺言書を預ける制度も導入されることになりました。遺言の原本を保管した法務局が、相続が発生して遺族の請求があれば写しを交付するという制度で、自宅での保管と異なり、紛失や親族による改ざん・隠匿を心配する必要がなくなりました。

 

そうすると、相続人は相続が発生したら法務局に遺言の写しの交付と閲覧の請求を行い、遺言の中身を確認することになります。

 

なお、公正証書遺言はそのまま公証役場に保管されるものの、手数料が高い公正証書遺言と比較して、相当遺言を遺す文化が広がる可能性は考えられます。

 

また、公証人は元裁判官や元検察官で定年退官したものなので、死亡で次々と交代しますが、法務局には組織性がありますから、よく分からないという事態も起こらないと思われ、原始的なシステムの改善が図られるといえます。

 

加えて、法務局の保管制度を利用すると、検認が必要なくなると考えられています。検認という手続はいろいろ無意味かつ不便な手続きでしたので、葬儀費用で揉める原因にもなっていました。

 

ところが、法務局で保管してもらうと遺言は検認手続が不要となるため、相続の際に起こり得るトラブルの数を減らすことができます。民法改正で遺言書の使い勝手が高まるといえるでしょう。

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